2012年09月27日

『痴呆を生きるということ』を読んで

『痴呆を生きるということ』小澤 勲(岩波新書)を読みました。

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私にも、もう10年も前から認知症で施設にいる祖母がいます。
会っても、私のことは分かりません。自分の子ども(私の母)のことも、分からないことがあるようです。
そうするとやはり「会っても仕方がないのではないか」と思ってしまいます。
「かえって私が行くことで、本人が混乱してしまうんじゃないか」と言い訳したくなります。

しかしこれは、認知症を「外側から理解」しているだけなのだ、と思います。

この本は、そんな認知症を医師として、一人の人間として、「内側から理解」しようとしています。
そうすると、認知症の理解を入口に、人間のこと、夫婦のこと、親子のこと、家族のこと、社会のこと、医療のことなど、生活の中のさまざまな「生きること」の本質を考えることになっていきます。
だから、本文の中には問題提起や疑問がたくさん出てきます。それは認知症の側から、いまの社会を見たときに生ずる根本的な問いです。

小澤さんは最後に強烈に主張します。
「痴呆を病む人たちの不幸と悲惨は、私たちがつくり出した不幸であり、悲惨なのだ。」

もちろん、この本は単にモラルを語っているのではありません。
人間の生き方について、深く考える機会を得ました。

笹本貴之
posted by 笹本貴之 at 12:23| 孤独な読書

2012年09月26日

PTA役員新聞 いじめについて

私がPTA会長を務める学校で、毎月一回PTA役員新聞を発行しています。
9月の新聞には、最近話題が絶えない「いじめ」について、私なりの考えを書きました。

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以下、全文を掲載します。
主旨は、「大人も自分の責任を自覚しよう」ということです。

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いじめを考える 〜保護者として思うこと〜

この夏休みはオリンピックで盛り上がりましたが、いじめの話題も多かったですね。大津市の問題から、いじめの実態やその後のずさんな対応が明るみになって、世間のいじめに対する関心が高まっています。一方、甲府市の児童会・生徒会でつくる少年議会では、数年前から「いじめ追放宣言」を採択しています(校長先生から「きずな」49を通して報告がありました)。それでも平成23年度の甲府市の小中学校では、いじめの認知件数が116件ありました。

では状況の中で、私たち保護者は、何を考えるべきか? 何をするべきか?
改めて悩んでしまいますね。

私はいつも、「いじめは子どもの責任じゃない。私たち大人の責任である」と思っているんです。そう言うと「それじゃあ保護者が、どうやって全ての責任を負うのか?」と指摘されそうですが、そうではないんです。私たち大人の「意識」のあり方を話題にしているのです。

私は先日、娘たちに「いじめを見て見ぬふりはダメだ!それはいじめをしている奴と同じだ!」と言い聞かせました。その瞬間、私はある会議のことを思い出してヒヤッとしたのです。以前、ある上司の強引な運営について、同僚のAさんが発言した時のことでした。「俺は確かに、Aさんを見捨ててしまった。あのときAさんが正しかった。俺も常々そう思っていた。だけど上司のその後の問い詰めが怖くて、Aさんに賛同せずに、黙って下を向いてしまった」。

いかがでしょう? よく考えると、こういうことは一度ばかりじゃないですね。職場で、団体で、勉強会で、地域で、友だち関係で、家庭で・・・。
子どもたちは私たち大人の社会をよく見ています。子どもたちは大人の建前と本音を見抜いています。「いじめをする子ども」も、そのいじめを「見て見ぬふりをする子ども」も、それは大人の社会のまねをしているに過ぎないんだ、と思うのです。

いじめを学校や教育委員会や行政のせいにしていないでしょうか? いくらマスコミや世間が騒いだって、いくら教育委員会や学校が頑張ったって、私たち大人が我が身を省みようとしない限り、現状は変わらないと思います。例えば、山梨労働局から平成23年度の労働紛争解決制度について、こんな発表がありました。「『いじめ・嫌がらせ』に関する相談の占める割合が、全体の18.4%(442件。平成22年度は15.9%,337件。)となり,初めて内容別の順位が第1位となった」。これが大人の職場の現状です。

一方、甲府市の学校や教育委員会は、いじめ対策に真剣です。その結果として、「何か困ったことがあった時、先生に相談するか?」というアンケートに対し、甲府市の小学校の83%の子どもたちが「相談する」と答え、全国平均の70%を大きく上回っています(甲府市教育委員会調べ)。

さあ、今度は私たち保護者の番です。私たち大人の「生き様」こそが、もっとも子どもに影響すると信じています。そして全ての子どもたちが、「親にも相談する」と答える地域社会をめざしませんか。

因みに、私も娘に説教したからには、自らの行動も正そうとしています。大切な場面では、意見や質問がある相手に対して直接発言するようにしています。これは勇気のいることです。相手に嫌われてしまうかもしれません。でも、じっくり本音で付き合える人間関係を、一つでも多く持ちたいと思っています。

笹本貴之
posted by 笹本貴之 at 01:06| 「学びの場」の告知

2012年09月10日

「山梨学院ワイン講座2012」をプロデュースさせていただきました。

世界には数えきれないほどの地域があり、それぞれに固有の産業や文化や生活が形成されてきました。
しかし私たちは、そんな地域の固有性を壊すことばかり考えてきたのかもしれません。
全国一律の都市計画、大手企業の誘致、大型ショッピングセンターの受け入れ、そして原発への依存などなど。
そして、私たちは知っています。
いま地域に住む私たちに必要なのは、その固有性を活かすことだと。

山梨のワインはそんな固有性の典型です。
他の地域にはない特別な魅力があり、だからこそワインをつかった地域活性化の試みが広がりつつあります。
そしてそのワインのことを知れば知るほど、そこに人生をかけるつくり手の想いに触れます。
つくり手を支える人々の存在が無視できなくなります。
地域に固有な資源はモノだけではなく、それを生み出す“人”でもあるのだと気づきます。

どうぞその人々の想いと行動を知ってください。

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今回で私の総合プロデュースは三回目となります。
単においしいワインを飲んだり、豊富なワインの知識を得たり、有名な醸造家の話を聞いたり、という受動的な講座ではなく、
この「山梨に住む」ということを自分のこととして考え、どんな心構えで、日々何ができるのかを考える能動的な講座を心がけています。

そんな意識を共有してくださる山梨学院生涯学習センターの皆さまには、本当に感謝しています。

詳細・お申し込みは以下のサイトからどうぞ。

http://www.ygu.ac.jp/cgi-bin/learning/lecture/detail.cgi?id=102

笹本貴之
posted by 笹本貴之 at 19:20| 「学びの場」の告知