2012年12月31日

なぜ「ワインツーリズム」の運営から去ったのか?

今年11月の「ワインツーリズムやまなし2012」では、たくさんの方々のご参加やご協力をいただき、本当にありがとうございました。
おかげ様でほぼ予定の定員に達し、収益も運営担当が事前に提示していた当初の損益分岐には達しているようです。

実は、私は今回の「ワインツーリズムやまなし2012」実施を前に、運営からは去りました。

なぜなら、「ワインツーリズム」の最大にして唯一の目的が、「事業として自立すること」であり、この目的を達成するために、私がいま去ることが最も有効なことだと、判断したからです。

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この目的は初回の大イベント「ワインツーリズム2008」を開催する以前から、2006年に雑誌『br』を執筆したり、フォーハーツカフェで「ワインフェス」を細々やっていたりしていた頃から、いやもっと前、2004年にまちづくりサロン“KOFU Pride”を立ち上げた頃からの、私の目的でした。

「どうせ山梨なんか・・・」
山梨の多くの若者が、山梨に住んでいることに誇りが持てないでいる中、「山梨にしか絶対にできないことをやって、誇りを取り戻してやる!」という想いで、「じゃあ何が武器になるんだ?」と遮二無二さがしたのが「ワインツーリズム」だったのです。
これは何を隠そう、私自身の山梨県民としての誇りを取り戻す作業でもありました。

当然、この活動は最初はお金になりません。またイベント事ばかり連発していても、何も変わりません。
この「ワインツーリズム」を活用して、関わる者が日常的に「食っていく」ことで、山梨という地方がこれから生き残っていくためのビジネスのモデルになろうとしてきました。

大イベント「ワインツーリズム2008」と「ワインツーリズム2009」では、行政から補助金をもらいました。
しかし、翌年はその補助金を拒絶して、事業として自立することを掲げましたが、一部の実行委員の「手弁当」の状態はなかなか脱せられずにいました。
その後、2011年に山梨県議会議員選挙に私が出馬したのも、なかなか事業化ができない、なかなか我々の真価が認められない、との焦燥感の中で、何とか突破口を見出したいという想いがあったのも事実です。

そして今年、5回目となる「ワインツーリズムやまなし2012」では、もう一度、事業化(ビジネス化)のことを議論しました。
(昨年末には「このまま手弁当では、次のワインツーリズムには関われない」という話も出ていました。)
その結果、旅行会社タビゼンを含む3社が今後の「ワインツーリズム」を自社の本業の一部として運営してゆくことが決まりました。

当然、私も運営に関わるという選択肢もありました。しかし、私は中途半端に関わらず、運営からは完全に去ることにしました。
その理由は二つ。それは本気度の問題と利益配分の問題です。

いまや私の本業は旅行事業でも制作事業でもありません。
前述の選挙を終え、失業し、新たに立ち上げた笹本環境オフィス(株)では、「地域の森林資源を活用する事業」を本業に選んだのです。
やはり本業に選んだ者が、本気で取り組むことが、最も大切なことであり、そうでなければ成功しないと思っています。

そして、事業化(ビジネス化)するということは、その利益の中で成り立つ仕組みをつくる、ということです。
本業にする者が利益配分を受けるのが当然であって、私のような立場の者は二の次です。
もし多少でも関わっていれば、当然口を出したくなるでしょう。手を出したくなるでしょう。しかし、私への利益配分はないのです。ということは、また私自身が「手弁当」をやることになるのです。そしてまた「手弁当からの脱出が大切」と反省会で言うことになります。

もうこの連鎖は絶対に辞めなければならない。
私はもう「手弁当」はやりません。
つまりそれは、補助金に代わる「手弁当への依存」をつくることになってしまいます。
本業として本気で「ワインツーリズム」事業に取り組む者たちが、正々堂々とその価値を市場に問えば良いのです。
ただそれだけのことですよ。認められれば継続して儲ければ良い。ダメなら退場するのみです。

いずれにしても、このように覚悟を決めた会社が現れたことを私は本当に嬉しいと思いますし、私の役割として私の実績だと思っています。

行政の補助金や、税金でつくった箱モノや、大企業の誘致や、業界の圧力や、イベント事や、ボランティアでは、社会は変わらないということは、既に火を見るよりも明らかです。
これら全て「依存」の構造です。
結局、地域の中小企業が、日常的に本業を発展させて、雇用を生み、税金を納めることでしか、社会は変わらないと信じています。
これが私たち地方に必要な「自立」の構造です。

最後に、この「補助金依存→ 手弁当依存→ ビジネス化・自立」という我々の考えを、汲み取ってくれた記事をご紹介します。

「産地の挑戦『ワインツーリズム』」山梨日日新聞
2012-11-11_sannichi_2.jpg
(全文はこちら⇒ 2012-11-11_sannichi.pdf


「人気のワインツーリズム岐路」朝日新聞
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いまここで、強烈に反省するのは、「私自身が果たして自立していたのだろうか?」ということです。
「山梨の自立」を叫ぶ、私自身が、本当に自立していたのか?
やっぱり依存していたなあ。
家業に。家族に。仲間に。地域に。ワインツーリズムに。

今度はイベントでも、手弁当でもなく、次なる「ビジネス」で、このように新聞の特集を組んでもらえるようになりたいな。
その日まで、また地道な生業、地道な議論が続きます。
 
笹本貴之/笹本環境オフィス株式会社 代表取締役
posted by 笹本貴之 at 00:36| ワインツーリズム

2012年12月12日

この「目的」だけは、譲れやしない!

千塚小学校のPTA本部役員新聞を今月も発行しました。
先日、PTAで主催した恒例の「餅つき大会」に関して書きました。

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たかがPTA、されどPTA。

いろんな議論がありました。
小学校のことになると、自分の子どものこととなると、自分の学校のこととなると、みなさん真剣です。
一つ一つの意見を受け止めて、やはり私の答えは、「目的を明確にして、そのための手段を講じよう」でした。

その目的とは、「子どもたちに、つきたての柔らかいお餅を食べてもらう」ということ。

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餅つきをどこでやる? どこで調理する? 何味にする? どんなタイミングで食べる?
これらは全て手段であって、全ては目的から導き出されるものであり、議論は全てこの目的に立ち返るべきだと、小学校のPTAの場でも一つ一つやっています。

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できたお餅が子どもたちに配られて、娘の食べているお餅を少しつまみ食い。
「あたたかくって、柔らかかった!」

大成功! これまで議論してきたPTA本部役員の皆さま、当日ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
これを機会に、PTAや学校の行事が、「誰のためでもなく、自分と子どものためである」ことを自覚していただけたら、誠に幸いです。

笹本貴之/千塚小学校PTA会長
posted by 笹本貴之 at 00:39| 私の考えていること

2012年12月10日

グローバルのはかなさ

中央高速道路の笹子トンネル天井板崩落事故で、犠牲になった方々には、心よりご冥福をお祈りします。

いままでに何百回と通過してきた、この中央道の笹子トンネルです。
甲府盆地と首都圏の大市場を結ぶ、本当に大切な穴。
この穴を通過できなくなって、下道となる国道20号線は大渋滞。
この年末年始、物流や宿泊やレジャーなどの観光に影響し、山梨の経済に大きな打撃となりそうです。

こうなると、この穴がなかった大昔、甲府盆地は陸の孤島だったんだろうなあ、と容易に想像がつきます。
トンネルがいくつもできて、そこを国鉄の中央本線が通って、劇的に山梨は変わったんだろうなあ。
例えば、ぶどうやワインだって、この穴を通じて、大市場へ持って行ったり、また大市場からそれらを求める人々が大挙しておしかけたり。
それから今度は中央高速道路。ちょうど私が小学生の頃に開通しました。
このときも、人・モノ・カネの行き来がより一層盛んになり、我々団塊ジュニア世代は、その恩恵で豊かな生活の中で成長しました。
(恐らくリニア開通推進者は、このパターンを念頭にバブル再来を期待しているのでしょう。)

こうして我々山梨県民は、グローバル経済の中にどんどん進むことになりました。それが経済発展と同意でした。
外部との交流がどんどん盛んになり、県内の小さな市場よりも、首都圏の大きな市場にモノを売るようになり、大企業もたくさん進出して来て、それに伴ってたくさんの雇用や下請け会社が生まれました。

ところが、こうしてみると、はかないものです。
たった一つの穴です。
たった一つの中央道笹子トンネルが崩れただけで、山梨全体の経済がおろおろしています。
東日本大震災の時もそうでした。たった数基の原発が止まっただけで、大変な騒ぎになりました。
いまもし、インターネットが一週間でも止まったらどうでしょう。想像するのも怖いです。

これはどの地方も同じなのではないでしょうか。
グローバルという名のもとに、我々地方の人々は、誇り高き「自立」を捨てて、都市や大企業や原発への「依存」をすすめてきました。

この「グローバルのはかなさ」を実感しだした私たちは、いままさに「地方の自立」を真剣に考え直す時期に来ているのだと思います。

しかし大昔の「自立」、つまり自給自足には戻れません。戻ろうとも思いません。
あくまでも発展的に、これからの「新しい自立」を考えたい、というのが私の立場です。
むしろ、その自立とは中央や外部への「上手な依存」でもあると捉えています。

私は現在、地域の森林資源の活用というビジネスを通して、地域のエネルギーや経済の自立を学んでいます。

笹本貴之/笹本環境オフィス株式会社
posted by 笹本貴之 at 14:11| 仕事を通して考えたこと