2014年04月07日

大豪雪の後に思うこと(「災害を今後のために活かす」とは?)

2014年2月14日・15日の大豪雪以来、特に山梨県内の果樹のハウス栽培の被害への対応が課題になっています。

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これは4月5日の山梨日日新聞の一面記事ですが、山梨県などの支援策が紹介されました。
記事から引用します。
壊滅的な被害を受けたブドウに関しては既存の露地栽培ブドウをハウスで覆えば、来季から高値で取引される早期の出荷が見込めるという。従来の支援策ではハウス栽培は樹木の植え替え後に利益を得るまで5年程度かかるが、露地栽培からハウス栽培への転換を促すことで、被災農家の営農継続を後押しする。
ブドウ栽培用のハウスは、今回の大雪で8割程度が倒壊や損壊の被害を受けて、今シーズンの利益はありません。
それを補って、どうにか農業を継続してもらおう、という行政の意図です。
で、恐らく行政はこのような支援の方向で行くのでしょう。

確かに、短期的な対処という意味ではよく理解できます。
ただ、ここで大切なことは、このような対処だけで終わって本当にいいのか? ということです。
今回の大豪雪で見えてきた課題はこれだけではないはず。このような災害があったからこそ、一度、山梨県内の農業の方向性を長期的に見直すべきではないのか? と私は農業の素人ながらに思うのです。

やっぱり、ブドウ栽培にとって、「ハウスの露地化」ではなく、「露地のハウス化」は長期的にみて時代に逆行しているような気がしています。

今回のことで、思い当たる論点を私なり出してみました。

・ブドウ農家さんが高齢化している。
 ⇒ どうしたら安定的な収益を見込めるのか?

・ワインの消費は増えても、ワイン醸造用ブドウの生産量は落ちている。
 ⇒ どうしたら手間をかけず大量生産できる醸造用ブドウ(醸造用ブドウは露地栽培)の生産を増やせるのか?

・ブドウの景観を維持するのが難しい。
 ⇒ やはりハウスより露地栽培の方が景観にはよい。

・今後も考えられる異常気象でハウスはリスクがある。
 ⇒ 今回の大雪で、露地栽培ではほとんど被害はなかった。

・加温ハウスで大量に使う重油の価格は上がり続けている(災害時にはすぐに足りなくなる)。
 ⇒ 今後も重油に依存するビジネスモデルは持続可能なのか? 環境やブドウの付加価値という意味でもどうか?

・高く売れるという早期出荷の市場の将来性に疑問あり。
 ⇒ それよりも「地産地消」や「旬」という価値観にこそ、ローカル(地方)の活路があるのではないか?

私は、都合のよい論点ばかり並び立てているのでしょうか。
私は農業が専門ではなく、限られた知識の中で考えたに過ぎませんが、それでもこの山梨県というローカルのことを長期的に考えてみると、「露地のハウス化」という対処に疑問を持ちます。

――――――

私がここで申し上げたいのは、単に「ハウスの露地化」と「露地のハウス化」の賛否ではありません。
今回の未曾有の大豪雪による被害を受けて、私たちがいままで触れなかったり、タブーにしていたり、とりあえず先送りにしていたりしてきた課題のいくつかを根底から考え直してみるよい機会だということを言いたいのです。
その意味で、上記の記事にある県の支援策は、「果樹王国・山梨」をどうしたいのか? どのように生き残っていくのか? どんな価値観を発信していきたいのか? という根本的な課題を長期的に考えているようには思えません。場当たり的な対処にすら思えてしまいます。

ブドウ栽培に限らず、気象庁の警報発令のルール、県や各自治体の災害対策、各地域の消防・自治会・PTAなどの役割などなど、たくさんの準備不足とたくさんの存在価値が見えてきたわけです。
「災害を今後のために活かす」とは、その一つ一つの意義と限界を検証することだと思います。

笹本貴之
posted by 笹本貴之 at 18:30| 私の考えていること